【2日目】朝一番の仕事
朝7時に起床して、早速カンタスフライトインフォメーションに電話をかける。ここでは、留守番電話になって いて、指示に従ってフライト番号を入れると予定到着時間を教えてくれる。本当は、到着予定の30分前に 電話をかければいいのだが、僕の立場上、これが朝起きてからの一番目の仕事になる。なぜその確認を しなければならないかと言うと、日本出発の予定便が何かのトラブルでスケジュール変更になっているかも しれないからだ。通常何か問題があれば、日本の事務所より連絡が入るが、日本出発後に変更が生じる時 もあり、この場合は現地で確認しないといけないのである。予定通り運行されて入れば、現状のままで構わ ないが、変更があればガイドさんや車の手配を新たに考えなければならないのだ。
朝、朝食を食べながら天気予報を確認する。メルボルンだけでなく、オーストラリア全体の天気や日本の 天気も確認する。なぜなら、お客さんと最初に会った時の会話は、殆ど天気の話から始る。お客さんは日本 からメルボルンに来るし、その後、他の都市に旅行にいくから全体の天気を知っておく事は、ガイドの基本中 の基本なのだ。それと、日本円と豪ドルの為替もチェックする。これもよくお客さんに聞かれるのだ。 (ただし、このレートと銀行や両替所の交換レートは一緒ではないので気をつける事)その後、シャワーを 浴び、髭を剃り、スーツに着替えて準備をする。やはり接客業なので第一印象は非常に大切で、派手すぎず 地味すぎずでバランスの取れた服装を心がける。会社によっては制服もあるが、僕の場合はスーツを利用 している。まあケアンズやゴールドコーストのリゾート地であれば、カラフルな制服もいいだろうけど、31歳の 社会人としては、スーツが着たいのが本音だな。やっぱりスーツを着ると、気持ちが引き締まる思いがする からだ。
その後、ドライバーが迎えに来るまでの時間に、メルボルン情報の資料を現在作成中で処理をしておく。 そして到着予定時間の30分前に予定便のカンタス22便(09時30分到着)の到着時間の確認をもう一度 フライトインフォメーションに入れると、思っていた通り、9時45分に遅れていた。英語ではDELAY(ディレイ) と呼ぶ。そしてドライバーに連絡して、迎え時間を9時45分に変更してもらう。ここで、なぜ到着時間とドライ バー迎え時間が一緒なのかというと、僕の家から空港までは車で10分の距離なのだ。国際線の場合、 到着後お客さんが到着ロビーに出てくるまで、エコノミークラスのお客さんであれば、どんなに早くても メルボルン空港では20分は掛かる。もちろんビジネスクラスの場合は10分で出てくる場合もあるけどね。 だから同時刻でも十分間に合うのである。それから、何故ドライバーが自宅まで迎えにきてくれるかというと 通常メルボルンでは自宅まで迎えにきてはくれないのが普通で、ガイドさんは、一旦シティに出て、スペン サー駅からスカイバスと呼ばれる空港行きバスを利用して空港にいくのである。ただ、僕の場合は、家が 空港の近くにある為、ドライバーが空港に向かう途中で拾う事が可能だからと、ドライバーには時々食事を ご馳走したり、一緒に遊びに行ったり、シェアーメイトを探してあげたりして、友達関係を作っている。そうす ると、仲良くなればオージーも結構助けてくれるのである。おかげで、移動時間も短縮でき、交通費も掛からない。
それから、9時45分にドライバーのアルバートが迎えに来た。約1ヶ月ぶりの再会だ。とりとめもない話を して空港に向かう。今日は2名なので車種はセダン(5人乗りの高級乗用車)を利用。空港に到着すると、 また遅れていて9時55分到着になっていて、おまけにその時間に3機も別の便が到着している。こうなると 国際線の場合地獄だ。お客さんが中々出てこないのだ。その間、ドライバーと話をしながら待つ。今日は 久しぶりに会ったから会話も楽しいが、これが毎日になってくると、つらいのだ。ドライバーは毎日運転 ばかりしているので、いつも愚痴が多くなる。まあガイドを始めた頃はそれでも英会話の勉強にと思って いたが、この歳になるとそうとは言ってられない。でもこれに関しては防ぐ手立てはないので、なんだかん だ言っても付き合っている状態だ。
そうこうしている内に、お客さんが出てきた。ガイドも長年やっていると、どのお客さんが自分のお客さんか、 行動や服装を見ただけで、かなりの確率で分かる。それから、お客さんに会い、自己紹介とドライバーを 紹介して、ベンチに座ってもらい(ベンチに座ってもらうのがポイント!お客さんは緊張しているので座って 貰う事で落ち着いてもらう)、スーツケースの破損が無いかチェック(もし問題がある時は、航空会社にクレ ームをあげなければならない)してもらう。その後、日本からお持ちの日程表と僕が持っている日程表を 手配内容(ホテル、オプショナルツアー、朝食、便名等)が合っているか確認する。もし間違っている場合は、 その場でオフィスに連絡して相違点を告げ手配しなおさなければならない。そして最後に日本で発券された 航空券も間違いなく発券されているか確認する。今回の手配には全て問題なく、これからご一緒にホテル まで送迎させていただく事を説明し、お客さんにトイレと両替の案内をして一緒に駐車場に移動する。
車に乗って貰うと、まずシートベルトを締めてもらう。オーストラリアの場合、シートベルトは乗車している本人 の責任で締めることになっているので、もし警察に見付かった場合は、お客さんが罰金を支払う事になる。 その後、準備が終わり、出発進行!ここで、改めてドライバーの紹介をすると、まさか、もうしないだろうと 思っていたが、アルバートが『オッハー』って言ってしまった。『もうこれは死語だろ!アルバート』と心の中で 叫んでいたが、アルバートはご満悦だった。そしてお客さんは薄笑い!!その後、ホテルまでの20分間で オーストラリアの基本知識を説明してホテルに到着。
本日のホテルはルメリディアンでメルボルンを代表とする、ヨーロピアンタイプのホテルだ。ガイドとしても、 高級ホテルにお客さんを案内するのは非常にうれしい。なぜなら、サービスもしっかりしているのいでクレ ームもあまり出ないからだ。それから、お客さんをソファーに案内してフロントでチェックインを行う。ラッキー なことにチェックイン時間が11時だったのにも関わらず、部屋が準備されており、お客さんがすぐに部屋を 使えるのだ。やっぱり12時間のフライト時間で疲れていると思うし、ありがたい!
その後、お客さんにホテル内の設備の説明をして、今日のペンギンパレードの参加券を渡し、質問がないか 最後に確認して、11時15分に仕事は終了。家から出発してからの合計時間は約1時間30分。英語を使用した のはドライバーとの会話を除いて、ホテルのチェックイン時のみなので、いかに英語を使わないか分かって もらえたでしょう。英語よりも日本語の敬語の方が使用頻度は高いのである。そして通常のガイドであれば、 これで1本の仕事は終わりだが、僕の場合は、オフィス業務があるのでこれから出社なのだ。地獄。。。。。
それでは昨日僕が予想したお客さん像の正解です。結婚2年目のカップル。年齢32歳。オーストラリア 旅行歴初めて。2日目の自由時間は自分達で街中を歩きたい。どう、ほぼ正解だったでしょう!